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地方都市のコンパクトシティ構想が本格化

2010年に1億2,806万人だった日本の総人口は、今後減少の一途をたどるとみられます。国立社会保障・人口問題研究所の2013年3月推計データによると、2040年までの30年間で全体人口は16%の減少となる見通しです。特に生産年齢人口は29%減、幼年人口は37%減と国を支える若者世代が減少する一方で、老年人口は31%増となり高齢化が急速に進行すると考えられます。

こうしたなか、大都市圏への人口集中と地方の過疎化は避けられず、地方自治体では高齢化対策と災害対策を兼ねたコンパクトシティ化の取り組みが本格化しています。



コンパクトシティ化で支出削減を目指す

コンパクトシティとは、徒歩や自転車で移動できる都市の中心部に住宅や公共施設、商業施設などさまざまな機能を集約し、市街地をコンパクトにまとめる都市形態です。昨今、日本の地方都市では、郊外のロードサイドに集中する大型店がにぎわう一方で街の中心部がすたれて、いわゆるシャッター商店街になるという現象が起きています。これは、バブル期の地価高騰で公共施設や病院などが地価の安い郊外へ移転したことや、公共交通機関が不便な車社会であることが背景にあるでしょう。

市街地の郊外移転は地域のインフラ整備を促進しましたが、それをいつまでも使い続けることができるわけではありません。老朽化したインフラの整備費用がかさむ一方で、人口減や産業の空洞化で地方の税収は減少しており、支出の削減を迫られています。地方都市にとって、コンパクトシティ化は財政負担の軽減にうってつけなのです。


「串団子型」のまちづくりで成功した富山市

コンパクトシティを提唱し、成功を収めたモデルケースに富山県富山市があります。富山市は世帯あたりの乗用車保有台数が全国トップクラスで、8割以上の人が通勤にマイカーを使う典型的な車社会です。そのため公共交通機関が衰退し、自動車を使えない世代の人にとって不便な街となっていました。
そこで、富山市が考えたコンパクトシティのイメージは「団子型」。徒歩で移動できる生活圏(団子)を、公共交通機関(串)でつなぐという考え方です。

串となる交通機関としては、廃止になるJR路線を利用したライトレール(路面電車)が導入されました。環状線化や接続するバス路線の充実によって利便性を高めた結果、利用者はJR時代よりも増加。特に、休日をはじめとした通勤以外の利用者が大幅に増えたとのことです。

さらに、公共交通の利用者増にともない富山市のCO2排出量が減少したため、環境モデル都市の指定を受けることにもなったのです。


コンパクトシティの推進で不動産価値に格差が生じる可能性も

コンパクトシティの推進は、行政による居住地の制限にあたります。そうなると、中心部の地価は上がる一方で、居住区域から外れた郊外の地価は下落することでしょう。不動産価値の格差があまりにも大きくなると、郊外から居住地に指定されたエリアに転居しようとしても、住居を構えるのが難しくなるかもしれません。

現段階ではコンパクトシティは理論先行の面があり、実際どれほどの効果をもたらすのか不透明なところがあります。世界の先進国のなかでも高齢化が進む日本は、モデルケースとなるべく積極的な取り組みが求められています。