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CRE戦略の重要な選択肢のひとつ、本社ビル売却!

企業の保有資産であるビルや工場、店舗、遊休地などの企業不動産(CRE)。これらを経営戦略的観点から見直し、潜在的な価値を有効活用することで会社経営に生かす「CRE戦略」が今注目されています。とりわけ、老朽化した自社ビルを本社屋として活用している企業にとっては、本社ビル売却はCRE戦略において避けては通れない課題といえるでしょう。そこで、今回はCRE戦略における本社ビル売却について、事例とともに予測される効果を考えます。


本社ビル=コア資産売却の意義

企業不動産のなかでも中核を担う本社ビルの売却。遊休地とは異なり、事業の本拠地である本社ビルのようなコア資産を売却してまで本社を移転させることに、どんな意味があるのでしょうか。一見するとマイナスの影響をもたらすだけのように思えますが、実は、近年のCRE戦略において、本社ビルの売却は重要な選択肢のひとつでもあるのです。
本社を移転する目的とは何か。それは、東日本大震災後、急速に意識が高まっている安全性の向上やBCP(事業継続計画)への取り組みをはじめ、社内コミュニケーションの活性化や業務効率化、またCREのコスト削減などの実現にあります。
実際、東京都内では、賃貸オフィス市場が年々拡大しており、その背景には、大企業を中心としたCRE戦略における賃貸オフィスビルの選択があると思われます。賃貸オフィスのなかには1,000坪を超える大型物件も珍しくありません。そうした、築年数が新しく、周辺環境やセキュリティ面などの諸条件が整った大型オフィスを賃貸することで、これまで分散していた支店やフロアを1か所に統合するという本社ビル売却事例も見られます。


本社ビル売却事例にみるCRE戦略

では、ここで、近年話題となった大手企業による本社売却の事例をご紹介しましょう。

ビール業界大手 キリンホールディングスの場合
キリンホールディングスは、17あるグループ企業の本社機能を統合することで、効率的な組織運営やグループ一体感のさらなる醸成、コストの最適化、災害時リスクマネジメントおよびBCP対応を叶えるべく、東京都中央区の本社屋を売却。2013年に中野区の中野セントラルパークサウス(5フロア分)へ本社を移転しました。本社ビルや別館など、売却総額は200億円ともいわれています。移転先の中野セントラルパークサウスは、日本最大級の巨大なオフィス空間とハイスペックな設備を有し、BCP対策に必要な防災機能も万全。自社ビルでこれほどまでの環境を整えるには莫大な初期投資を必要とすることからも、それらをまとめて享受できるのは賃貸オフィスならではといえます。


本社ビル売却がCRE戦略にもたらす影響

これまで不可侵領域と思われた本社ビルの売却ですが、実は、CRE戦略において避けては通れない重要な施策のひとつであることがわかってきました。では、改めて本社ビル売却がもたらす影響について、ポイントをまとめてみましょう。

【本社ビル売却のメリット】
①老朽化したビルから、耐震性・耐久性・防火性などの優れた防災体制を持つ最新のビルへ移転することによる、BCP(事業継続計画)の強化
②点在していた拠点を統合することによる業務の効率化、社内コミュニケーションの活性化
③重複した機能を集約、各拠点間の移動が不要、自社ビル維持・管理費が無用になったことによるコスト削減
④オフィスの使用面積を効率化することによる、利益を生まない不動産に対するコストの最適化

【本社ビル売却のデメリット】
①オフィスを賃貸することによる賃料の発生
②自社ビルを失うことによるモチベーションの低下
③オフィス空間を賃貸することによる空間利用の自由度の制限

このように、CRE戦略においての自社ビル売却はマイナス要素ばかりではなくプラス要素も多いことから、所有から賃貸へとCREの戦略的視点から切り替える企業も増えつつあることが理解できます。携帯電話やネット環境などのデバイスが進化した今、業種によっては本社ビル=本拠地すら持たないという企業も出てくるかもしれません。また、オフィスの形態についても、SOHOやバーチャルオフィス、シェアオフィスなど、多様化するワーカーのニーズにこたえて一層多彩になっていくことでしょう。仕事の本拠地=ワークプレイスについてどう考えていくか。今後はCRE戦略のひとつとして「仕事場のあり方」がますます重要になっていくに違いありません。